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中国EC法によってインバウンド消費は今後どうなるか?

この数年、日本経済に大きく影響を与えた、主に中国人旅行客によるインバウンド消費。一昔前は家電用品が爆買いの中心でしたが、昨今は日用品・化粧品にその対象が移ってきています。

ここへきて、2019年1月から、「中華人民共和国電子商務法」(EC法)が施行され、これにより、いかなるEC事業者も、登録・納税をしなければならないとされています。

<コラム>「中国・電子商取引法」全文日本語訳―2019年1月1日...|レコードチャイナ

これに伴って、中国の空港の税関では、限度額を超える輸入をしていないかどうかの取り締まりを強化している模様です。

果たして、この法律の施行により、主に日用品・化粧品のインバウンド消費は影響を受けるのでしょうか?受けるとしたら、メーカーの打ち手として何が考えられるでしょうか?

 

インバウンド消費を分類してみる 

この影響度を考えるとき、以下のように分解して考えてみます。

誰が買うか?
①訪日旅行客、②日本在住中国人、③日本在住中国人等を通じた転売組織、④卸経由の転売組織

誰のために買うか?
A.自分のため、B.親戚・友人のため、C.ネット上の依頼者のため、D.オンライン/オフラインの不特定多数のため

 

この2つの切り口を掛け合わせて、日本ブランド品のインバウンド消費の影響度を考えてみます。

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※ 「激減?」としたのは、いくつかの転売組織はきちんと登録・納税を本国で行っている可能性がある、または、法の網をくぐって裏取引を加速させる可能性がある、という想定ですが、そこまでのリサーチができていないのでここでは「激減」と扱っています

 

こう考えると、日本国内で発生するインバウンド消費は激減するのは明らかです。

この現実に直面する日用品・化粧品メーカーはどのように対処していかなければならないでしょうか?

 

何より考えなければいけないのは、エンド消費者のインサイト。なぜ彼らは転売商品を買うのでしょうか。

それは、中国国内で買うより安いからであるからでしょう。また、知り合いからの購入だと、本物であることの安心感もあるのではないでしょうか。

 

今後のメーカーの取るべきアクションの方向性に対する示唆

こう考えると、エンド消費者の今後取る行動は以下のように想定されます。

  1. 中国本土で高くても買う
  2. 旅行に行って安い値段で買う
  3. 中国本土でやや品質が劣る他商品を安い値段で買う

1が成立すればメーカー側すると、これまで安い値段で売っていた商品を高い値段で買ってくれるのですから御の字ですが、そううまくは行かないでしょう。一度認識された価格より高い値段で買うのは誰だって抵抗を覚えるものです。

2はもはや国としてのアピール力にかかってくるので、いちメーカーが影響を与えられる範囲は限られているでしょう。

なので、現実的には3が起こるのではないでしょうか?

 

メーカーが取りうるオプションとして、中国本土の価格を日本の価格に近づけて同じ商品を売るというのももちろん考えられますが、中国の税金は日本より高いため、それを実現するには利益率を犠牲にせざるを得ません。

もしくは日本の価格を中国本土の価格に近付けることも考えられますが、それは日本人消費者に対して説明するのが難しいでしょう。

なので、少しだけ品質の落とした「日本製」の商品を中国用に開発するのがいいのではないでしょうか?というのが私の見解です。

また同時に、フェイク品が今よりも出回りやすい構造になるので、その対策も必要になってくると思われます。